きらきら、きらきら。
貴方は、いつだって眩しく輝いている。
眠っている時も、授業を受けている時も。
どんな時だって、貴方の姿が頭を離れないでいるよ。
――硝子越しの世界――
いつもの生徒会室。
と言っても、颯人くんも一樹会長もいないこの場所には、私と、彼の2人きり。
そして、その彼は例の如くラボにこもっているから、実質、生徒会室には私1人だけのようなもの。
淋しくない、と言えば嘘になっちゃうけれど、実験をして、楽しそうに目を輝かせている翼くんを見ているのも好きな私。
爆発させては、一樹会長や颯人くんに怒られているけれど、いつだって真っ直ぐな翼くんは、私には眩しく映った。
「、お待たせ〜。帰ろっか」
そう言って、ラボから出てきた翼くん。その顔には、赤ぶちの眼鏡。
「翼くん、それ、またかけてたの?」
「うぬ、俺のお気に入りなのだ!」
聞いてみれば、翼くんは屈託のない顔で笑う。こういうところは、やっぱり可愛いなって思っちゃう。
「そうだ、もかけてみるか?」
「え…?」
唐突に翼くんに言われて、私は思わず聞き返してしまう。けれど、スキアリって言うが早いか、さっと翼くんは私に自分の眼鏡をかけさせた。
「うぬぬ、やっぱり、眼鏡をかけると、も賢そうに見える」
「賢そう、は、余計!」
心外な言葉に怒ってみせれば、翼くんは相変わらずのぬはは笑い。もう、本当に、いたずら好きなんだから。
そんなことを思っていたら、
「つ、翼くん?」
不意に、真剣な表情になって、私を見つめる翼くん。しかも、距離がめちゃくちゃ近い。
「ど、どうしたの?」
「ん〜、ちょっと、実験」
あまりの至近距離にドギマギしながら聞いてみたら、真剣な表情のまま、翼くんはますます距離を詰めてくる。しかも、しっかりと手を握られているから、逃げることも出来なくて。
「ん…ッ!」
不意に、奪われた唇。
翼くんの行動は、いつも唐突だ。そんな彼のキスに、私はいつまで経っても慣れずにいる。
カッコ良い、大人な翼くん。年下だけど、私よりずっと背が高くて、真面目な顔はやっぱりカッコ良いんだ。
「はぁ…」
何度も触れ合わせた後、ようやく離れれば、翼くんはすぐ近くでいたずらが成功した子供のように笑った。
「実験大成功〜!」
「もぅ、何の実験?」
恥ずかしくて、思わず翼くんから目線をそらして言う。けれど、翼くんがそれを許してくれなくて、私と目線を合わせてから言ってきた。
「眼鏡をしたままでもキスできるかどうか。うぬ、頑張れば出来るな?」
「頑張らなくて良い…」
満足そうな翼くんに、私はそれしか言えない。もう、本当に、心臓に悪いよ。
「……」
そんな私を、翼くんは黙ったまま真っ直ぐ見詰める。まるで、新しい発見をしたみたいな、そんな顔。その視線に耐えられないのに、目を逸らすことは許されない。
「つ、翼くん?」
せめてもの抵抗に、翼くんの名前を呼んでみれば、不意に、優しく微笑んでみせる。私の、ある意味苦手な、男の人の顔。
「けど、は、眼鏡がない方がいい」
「え…?」
「そんな硝子越しじゃなくて、ちゃんと、俺を見て下さい」
そう言って、翼くんは自分でかけさせた眼鏡を外してしまう。その言葉にも、その仕草にも、どきりとさせられてしまった。
それから、優しく押しつけられる唇。極上の甘さで、私を甘やかしてくれるのは、きっと、翼くんの特技なんだ。
「もう、そういうカッコ良い台詞を敬語で言うのは、反則、です」
「うぬぬ、でも、も今敬語だったぞ?」
ツッコまれても、私は素知らぬ顔。そしたら、捨てられた子犬のような瞳で私を見つめてくるから、つい笑ってしまった。
「翼くん、可愛い」
「ぬ〜、俺は、可愛い、じゃなくて、カッコ良い、の方が嬉しいぞ?」
私の言葉に、翼くんは不服そうに唇を尖らせる。そういうところが、可愛いのに。
なんて思ってたら、
「じゃあ、カッコ良い俺を、もっと見せてあげるよ。それで、もっともっと、俺のことすきになって?」
「え…?」
聞き返す前もなく、また下りてくる口付け。そんなの、もう十分だよ。そういう翼くんが、カッコ良すぎて、大すき。
いつだって、私には眩しすぎる貴方。
自由奔放で、可愛いと思ったら、次の瞬間にはカッコ良さにどきりとさせられる。
そんな貴方を、ずっとすきでいたいから。
「、大すき。ぬはは!」
こうやって、至近距離で見つめ合う時は、何の障害もなしに、ね?
あとがき:
唐突に、眼鏡をかけてる翼くんのスチルを思いだして浮かんだネタです(笑)
ぬいぬいから奪った眼鏡をかける翼くんも好きですが、やっぱり眼鏡は邪魔なんじゃないかと。
で、「そんな硝子越しじゃなくて〜」の台詞が思い浮かんで、こうしてかたちになりました☆
私も眼鏡ユーザーですが、邪魔かどうかの真意は定かではありません(爆)
やっぱり、どこまでいっても甘々な翼くんが大好きなんです!
ここまでお読みくださり、ありがとうございました(>▽<)
〔2010.2.15〕
BGM by Lil'B 『つないだ手』