貴方の笑顔に、どれだけ癒されただろう。
いつの間にか、私の中は貴方で満たされていて。
かけがえのない時間、ただそれを大切にしたい。
――輝く星空――
人気のなくなった生徒会室。けれど、そこにはあったかい想い出がたくさんあって。
いつも自信たっぷりの一樹会長、穏やかな颯人くん、そして、
「ぬわーっ!!」
声と同時に、それをかき消すような爆発音が響いて、ちょっと物思いにふけっていた私は驚いてしまう。
そう、書記の私と、会計を務めるもう1人の最年少メンバー。
「翼くん、大丈夫?」
急いで、彼専用のラボに行ってみると、煙が中に充満していた。その中から、少し咳き込みながら、翼くんが出てくる。
「ぬはは〜、また失敗しちゃった」
「もぅ。それより、怪我はない?」
相変わらずの笑顔に少し安心しつつも、聞いてみれば、相変わらずのぬはは笑い。
「大丈夫、心配性だな、は」
「だって、翼くんに何かあったら…」
そこまで言って、恥ずかしさに思わず口をつぐむ。
実験が失敗して、爆発させることなんて、日常茶飯事。そして、一樹会長に怒られて、2人で大騒ぎして、最後に颯人くんに黒板攻撃を食らうんだ。
でも、
わかってる、大丈夫だって。それでも、心配しちゃうのは、同じ生徒会メンバーとして以上に、翼くんのことを見ているから。
「」
不意に名前を呼ばれて、顔を上げてみれば、翼くんの顔が近くにあって。あ、って思う間に、口づけられる。
「つ、翼くん!」
「ぬはは〜、怒った」
そう言って、笑う翼くんは、まるで子供みたい。身長は私よりずっと高いのに、何だか弟みたいに感じるのは、彼の性格のせいだろう。もちろん、今はそれだけじゃないけれど。
「お、怒ってるんじゃなくて…」
「心配、してくれたんだろ?」
不意に、低められた声に、思わずどきっとしてしまう。私に目線を合わす翼くんの瞳が、本当に優しくて、さっきまで子供みたい、なんて思ってたのが嘘みたい。
「つ、翼くん、近いよ…っ!」
恥ずかしくて、思わず後ずさっても、翼くんは私との距離を遠ざけてはくれない。知ってるくせに。こういうの、私が恥ずかしがるってこと。
「やっぱり、可愛い、」
言うが早いか、また不意打ちのキス。こういう時の翼くんは、大人だ。男の人だって、意識させられる。
そのまま、何度も口付けを交わして、最後には抱きしめられる。翼くんの顔が私の肩に乗って、恥ずかしさが増す。
けれど、当の翼くんはお構いなし。私の反応を、ただ楽しんでる。
「俺、やっぱり、のこと、大すきだ。だから、笑ってて?」
「翼くん…」
「俺の大好きな笑顔、いっぱい見たいんだ」
耳元で囁かれる甘い言葉は、いつだって私の胸を熱くさせる。ドキドキさせられっぱなしで、悔しいけど、やっぱり翼くんには敵わない。
「じゃあ、私が笑っていられるように、あんまり無茶しないでね?」
「ぬいぬいさ〜」
そう言って、翼くんは少し私を離す。真っ直ぐに、綺麗な青瞳で見られて、やっぱり恥ずかしくなる。
「つ、翼くん、今日は遅くなっちゃったし、帰ろ?」
「ぬ〜、じゃあ、最後に…」
言って、翼くんは掠め取るような口付けをする。それから、こつんっておでこをくっつけて、笑ってみせた。
「寮に帰っちゃうと、明日まで会えないからな。ほんとは離れたくないけど、今のキスで我慢する」
「もぅ…」
明日も明後日も、ずっと一緒にいられるのに、翼くんにはそんなこと関係ないのかもしれない。けど、それは、私もおんなじだ。
「じゃあ、帰ろうか? 寮まで送るよ」
「ありがとう、翼くん」
「ぬ? こんなの、彼氏として当然だぞ。ぬはは」
お礼を言えば、さらっとそんな恥ずかしいことを言って笑う。
けれど、私は、どれだけこの笑顔に支えられてきただろう。
子供みたいだけど、大人な翼くん。いつの間にか、私の中は翼くんで満たされていた。それが、同じだって翼くんも言ってくれる。それが本当に幸せで。
生徒会室を出て、見上げた夜空に、流れ星が一つ。
ぎゅっと握られた大きい手を強く握り返しながら、願う。月並みな言葉ではあるけれど。
ずっと、一緒に翼くんといられますように。
あとがき:
とうとうやってしまいました、翼夢σ(^◇^;)
ゲームをプレイしてて、キャラはつかめたかなって感じでしたので、書きたいものを書いてみました。
ゲームのネタばれ的話とか、ドラマCDに沿った形だったりとか、
いろいろ模索はしているんですが、まずは第一弾、ということで。
やっぱり、翼の「ぬはは笑い」書いてて楽しいです(^_^*)♪
また、徐々に増やしていければ良いなぁ、と思いながら。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました(>▽<)
〔2010.1.28〕
BGM by ドラマCD『Starry☆Sky〜Aquarius〜』