ずーっと、ずーっと君と一緒にいたいから。
 時間なんて、止まってしまえ!


――タイムアウト――


「うわ…」
 感嘆の声を上げる君の声に従って空を見上げれば、雪が舞い降りてきて。ホワイトクリスマス、ならぬ、ホワイトバレンタインだ。
「綺麗…」
「うん」
 頷いてみたけれど、ほんとは、そう言うの方が綺麗です、なんて、ありきたりなことを思って、思わず苦笑した。
 うぬぬ、俺、やっぱりに弱いかも。
 なんて、そんなことは今更。君と一緒に生徒会を始めてから、君はすぐに気になる存在になってて。には、良くも悪くも困らされっぱなしだ。
 こうして、生徒会室で、2人で過ごす時間。今はまだお互い寮生活だから、ゆっくりデートを満喫もなかなか出来ないけれど、俺には、ただ2人でいられる時間があるだけで幸せ。
「なぁなぁ、、今年は何で手作りチョコなんだ?」
 後ろから君をぎゅーってして、聞いてみる。直接の顔は見られないけれど、ガラスに映る君の顔はまっかっかだ。
「だ、だって、甘くないようにしたかったし、気持ちも、こもってるでしょ?」
 そう言うはますます赤くなっちゃったけど、それが可愛くて、もっとぎゅーっと抱きしめる。
 君からもらえるものは、何だって嬉しい。手作りじゃなくたって、それがめちゃくちゃ甘くたって、俺はきっと喜んで食べてたよ。
 でも、気持ちがこもってる、なんて言われて、やっぱり嬉しいから、の力って、凄いんだなって思う。
「でも、そらそらにもあげてるのは納得いかない〜」
「あ、あれは、日ごろの感謝の気持ちって言うか…」
「じゃあ、俺のは?」
 わかってはいたけど、やっぱりそらそらにも手作りチョコをあげてたのが気に入らないから、つい、意地悪をしてしまう。
 あぁ、ますます赤くなっちゃって、そんなの、逆効果だって。
「ねぇ、?」
 耳元で、甘く囁いてやれば、はもう俺に落ちたも同然。ぬはは、こういうのはちゃんと心得てるんだぞ、俺は。
 そのまま、の反応を楽しみながら返事を待ってたら、君は何度もくちをぱくぱくさせて。それでも、やっと絞り出すような声で言ってくる。
「翼くんは、彼氏だから、トクベツ、なんです」
 本当に、消え入りそうな声。けれど、至近距離にいた俺にはばっちり聞こえてて、それだけで、すっごく嬉しくなる。
「俺も。だから、トクベツ」
 そう言って、頬に口付ければ、もっともっと赤くなる君。ぬはは、って笑えば、笑うな、って怒るも可愛い。
 けど、ほんとだよ? だから、感じる想い。
 このまま、時間が止まっちゃえば良いのに。そしたら、2人きりの時間が、ずっと続くのに。
 でも、時間が進むから、楽しいって思えることもあって、楽しみに思えることもある。それを、この生徒会に入って知ったんだ。
 まぁ、それでも、と過ごす時間は別、なんだけど。
「あの、翼くん…」
 遠慮がちに俺を呼ぶ声に気付いて、軽くを離せば、は、俺に向き直って、真っ直ぐ見詰めてくる。どうしたんだろ、なんて思ってたら、不意に、俺の肩を支えにして、君からの口付けのプレゼント。
「颯人くんとは違うから…。翼くんにだけ、ね」
 そう、恥ずかしそうに言う君。
 ダメだ、してやられた。
〜、あんまり可愛いことしてると、俺からもっとキスしちゃうぞ!」
「つ、翼くん…ッ、ん…ッ!」
 返事も聞かずに口付ければ、はすぐに俺の首に手を回してくる。そんな姿をガラス越しに見て、俺は思わず、心の中で笑ってしまっていた。


 大すき、って、口に出すのは簡単だけど、それ以上に伝えきれない気持ちがあって。
 それを伝えるのには、きっと、それだけ研究したって、どれだけ時間があったって、足りない。
 だから、君との時間はトクベツ。
 時間が止められない分、1つ、1つ、大切にしたい、この時間。
 ただ、君と過ごすためだけに。





あとがき:
夢でバレンタイン網羅作戦、『Starry☆Sky』編でございます。
最近ちょっと気に入ってきました、翼くん視点(笑)
『Starry☆Sky』って作品自体がそうだからかもしれないですが、
比較的甘めに書きやすい作品です。
それが翼くんだから尚更なのかも、と思ってみたりして(^_^*)♪
ここまでお読みくださり、ありがとうございました(>▽<)
〔2010.2.10〕
BGM by 鈴村健一 『ペルそな』