「ファラー」
「・・・・・・・・・・」
「ファーラ」
「・・・・・・・・・・」
「ふぁ〜ら〜」
「・・・・・・何?」
「構って♪」
「・・・・・・・・・・」
<依存、のち暴走。>
最近、リッドがおかしい。
なんかやたらと構ってもらいたがる。
(なんでだろ・・・・)
チョコを湯煎で溶かしながら、ファラは考えていた。
折りしも、今日はバレンタインデー。
リッドと日頃お世話になっている数人の人たちのために、チョコを作っていた。
といっても、リッド用のものはもう完成していて、今作っているのはその他の人用。
だから、多少の失敗は気にしなくていい。(酷)
それでもファラは、チョコをかき混ぜる手を止めなかった。
(最近、別に何もなかったし・・・・・)
喧嘩をしたわけでもなく。
大人の事情がなかったわけでもなく。(ぇ)
ただただ、平和に暮らしていた。
以前も、二人きりの時には、たしかに彼は甘えたりしてきた。
―――――が、今回は異常だった。
それはもぷ、ファラが死んでしまいそうなくらいにくっついていた。
なぜ、か。
全く予想がつかなかった。
(・・・・・・もしかして・・・・)
はた、とファラの手が止まる。
(チョコくれないとか思ってるのかな・・・・)
そんなことはあり得ない。
旅が終わった後、一緒に生活し様とリッドに言われて。
いわゆる同棲というものを始めて、もう2年が経つ。
愛が冷めでもしない限り、そんなことは絶対にしない。
(・・・・・・・・・・・・)
ファラはチョコの入ったボウルを湯から解放して、テーブルの上に置いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・ま、いっか」
ファラの結論は、ものすごく簡潔だった。
「ただいま〜」
夕方頃、リッドが猟から帰ってきた。
「おかえり。早かっ」
「ファラーvv」
獲物と件を放り出して、テーブルに向かっているファラに飛びつく。
ここまで来ると、末期に近い気がする。
「何してんだ?」
「ん?チョコ包んでるんだよ」
ファラが指差したところには、綺麗にラッピングされたチョコが数個並んでいた。
「リッドが帰ってくる前に私に行こうかと思ってたんだけど、家空けるの心配だったから行けなくて。
じゃ、私みんなに届けに―――――・・・・」
「駄目」
――――――――間。
「・・・・・・・・・え?」
ファラが間抜けた声を出す。
しかし、リッドは真剣な顔をしていた。
「俺以外にあげるな」
逆らえないような命令口調。
そういえば、よく見ると目つきも『真剣』というものではない気がする。
なんというか―――――真剣とかを通り越して、怖い。
足がすくんで動けなくなるほど。
ファラは、狩られる魔物の気持ちがなんとなくわかった気がした。
「あ、あの・・・・リッド・・・・・・?」
ファラは震える声を搾り出した。
すると、リッドは口元を緩めて、笑った。
―――――――口元、だけ。
(目が笑ってない!目が笑ってない!!)
もはやファラも震えるしかない。
明らかに何かある。
ファラがそう察した時には遅かった。
リッドは不意をついて、ファラをテーブルの上に押し倒した。
といっても、上半身だけだが。
「ちょっ・・・・リッド、駄目・・・・!」
ファラは抵抗しようとしたが、力が入らず、それは微々たるものにしかならなかった。
リッドはファラの両手首を右手で拘束し、左手でラッピングを開け、その中のチョコを頬張った。
「そっそれリッドのじゃ――――・・・・・!」
ファラが言い終わる前に。
リッドはファラに口づけた。
「んっ・・・・・」
すぐに、リッドの舌が入ってきた。
まだカタチが残っているチョコと一緒に。
抵抗しても無駄だとわかっているファラは、もうされるがままになっていた。
やがて、チョコが完全に溶けてしまうと、ようやくリッドは口を離した。
「りっ・・・・ど・・・・・・」
潤んだ瞳のまま、ファラはリッドを見た。
「ん?」
リッドは微笑んだ。
今度はちゃんと目元も笑っていた。
「さ、最近・・・・リッドおかしいよ・・・・。どうか、した・・・・・?」
「・・・・知りたいか?」
ファラがこくんと頷くと、リッドは不敵な笑みを浮かべた。
「バレンタインだから」
「・・・・・え?」
リッドは顔を近づけて、ファラの耳元で囁いた。
「俺だけにチョコを渡してほしかっただけ」
くっついてたのもそういうこと、と、リッドは付け加えた。
まるで、子供のような言い分。
年を重ねるにつれて増している、依存。
完璧に依存症だなぁと、ファラは心の中で苦笑した。
「しょうがないなぁ・・・・・」
ファラはふぅ、と溜息をつく。
「じゃあ、今日はもう外出ないから・・・・とりあえず、この格好きついからほどい」
「やだ。」
――――――即答。
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「気付かなかった罰に、チョコより甘いもんもらう」
「チョコより・・・・・甘いもの・・・・・?」
「ファラvv」
―――――――笑顔。
めちゃくちゃ笑顔。
これほどの笑顔を見たことがあるだろうかと思うほどに、清々しい笑顔。
それが逆に、さっきの笑みよりも怖い気がした。
「ち、ちょっと待っ・・・・・」
「さあ張り切って行ってみよ〜♪」
「っきゃ――――――!!!!」
ファラの叫びが、家の中に響いた―――――・・・・・。
過度な依存は、暴走を招く。
そう思ったファラ・エルステッド、19の冬―――――・・・・・。
あとがき:
初、人様にリクをして小説を頂きました。
これは、テイルズオブエターニアというゲームの主人公、リッドと、ヒロインのファラの小説です。
ぼくもたまに日記で書かせてもらっている通り、このゲームのファンですので、このような素敵小説を相互リンクの記念にいただけるのは、本当に嬉しいことです。
独占欲の強いリッドさん、最高な作品ですね。
最後になりましたが、ガーネットさま、このような素晴らしい小説と相互リンク、本当にありがとうございました。
〔2005.2.13〕