支えになるから
「はぁ〜」
盛大なため息が、思わずついて出た。でも、それを止めることも出来なくて、思わずうつむく。そしたら、そんな姿を見るに見かねたのか、隣から大して心配げでもない声が聞こえてきた。
「そんなショックだったのか?」
聞かれて、ぼくは思わず口ごもってしまう。ショックなんてもんじゃないよ。
「もう、絶対終わった…。あんなに出来が悪いと、希望すら持てないよ」
柊一の言葉に、思わず不貞腐れたように返してしまう。
何のことはない、期末テストの英語の話。柊一は相変わらず難なくクリアしたみたいだけど、ぼくはそうはいかない。特に、今回のテストには進級もかかってるんだ。それが悪かったんじゃ、諦めもつかないよ。
「はぁ〜」
「そんなため息ばっかついてると、幸せまで逃げるぞ」
もう逃げてそうだよ。
口には出さずに、胸中で呟く。だからか、ぼくの気持ちなんてまるで解ってないみたいに、柊一はどこか楽しげに言ってきた。
「お前がそんなに言うんじゃ、今回ばっかりはダメかもな?」
「う…」
うっわ、ほんと、はっきり言ってくれるな? 普通、友達が落ち込んでたら、励ましてくれるもんじゃないのか? 案外イケてるかもしれない、とか、ダメだと思わないでも良いんじゃないか、とかさ。
そう思って、そのまま口にしてみたら、柊一はすんなり返してきた。
「気休め言ったって、気ィ収まんねェだろ? 成功でも失敗でも、問題なのは、次に自分がどう動くか、じゃねェのか? 失敗したなら、その反省を次に活かせば良いだけだ。そうだろ?」
今度は、優しい笑顔を向けられて、ぼくは何も言えなくなってた。
そうだよ、彼から教わったんだ。一番大事な、処世術。
「そうだね、終わったものを、気にしても仕方ないよね? よしっ、じゃあ、仕事の前に、ラセットブランチでケーキでも買っていこうか」
「翠、それは現金すぎ」
柊一が呆れたように返すと、その後ですぐに吹き出してくる。だから、つられてぼくも笑ってしまってた。
つらくても、支えあえれば乗り越えていける。
一人で解決していくことも大事。
でも同じくらい、誰かに相談して、叱咤激励してもらうことも大事なんじゃないかって思う。
少なくとも、そうすることで、君と共に生きていけると、そう思った。
あとがき:
日記に上げた、2周年記念の小説のうちのひとつです。
真っ先に思いついたのがこの話で、やっぱり、主人公なんだから、ということで。
本当に久しぶりにOutragerを書いた話だったので、良いリハビリになりました。
困った時の主人公頼みなんです(笑)
今回は、失敗しても前向きにやっていこうという、少し明るめの話です。
〔2006.5.6〕