tale 真夏の夜に

 時計が指し示したのは、午前12時。日付が変わったばかりである。
 外は、昼頃から降り始めた雨が激しさを増し、窓を思い切り打ち付けている。遠くで雷鳴も聞こえるほどだ。嵐と呼んでも良いかもしれない空模様である。
 だが、そんな天候もお構いなしに、彼らは作業を続けていた。
「明香莉、寝るなら仮眠室で寝てきなよ?」
 自分の斜め前でうつらうつらしている少女に言ったのは、年の頃15歳ほど、赤髪金瞳の少年だ。幼さの残るその顔は、疲労のために若干崩れている。
「うぅ、へーきです。柊一さん達が頑張ってるのに、私だけ寝るなんて」
 言いながら、明香莉は傍らのカップに入れておいた冷めたコーヒーを飲む。艶やかな黒髪を耳の上辺りで2つに束ねて邪魔にならないようにしているあたりにやる気は見られるが、少し大きめの紫瞳にはうっすらと涙がにじんで必死に眠気を押し殺している感が見て取れる。
 その隣にいる人物もほぼ同様だ。年の頃は柊一と同じか少し上くらい、エメラルドグリーンの髪に青瞳で、頬杖をついて眼前のパソコンに向かっている。明香莉のように眠たげな素振りは見せないものの、普段コーヒーに砂糖を3つも入れるはずが、無理にブラックコーヒーを飲んで苦さに顔をしかめているあたり、実は最も眠気と戦っているのではないかと思う。
「翠、お前も寝てきて良いから」
「やだよ。このままじゃ、気になって眠れるもんか」
 一応気遣って言ったつもりだったが、あっさりと拒否される。だが、その答えにも納得できたので、柊一もそれ以上は言わなかった。
 彼ら3人は、若いながらも警視庁刑事部特別捜査スプレス課――通称特捜S課で働く刑事である。仁科柊一は刑事、東麻翠は警視正、清宮明香莉は警部という高い階級を持っている。それは、彼らの実力が反映されてのものだ。
 柊一と翠は、"アウトレイジャー"と言えば、庁舎ではほとんど知らぬ者がいないというほどの有名人で、検挙率はほぼ100%と言える。
 また、明香莉は、高い情報処理能力と判断力が大いに事件解決に役立っている。
 そんな彼らが今戦っているのは、過去の事件のデータベースである。ここ数十年の事件なら、メモリーチップという最新鋭の記憶装置に保存されていて、キーワードさえ解れば過去の事件など数えるほどにピックアップできるのだが、それが20世紀も終わりの頃のものとなると話は別だ。その当時のものは、手書きの資料ばかりである。多少はパソコンで調べられると言っても、手間がかかるのだ。この作業を、かれこれ3時間はやっている。
「それにしても、今回の事件が50年前の事件に似てるなんて言い出したのは誰だよ…」
 悪態をつきながら、翠は恨みがましく柊一を見る。彼は、さりげなく目線をそらしながら、自分のカップのコーヒーを飲んでいたが。
 今日のこの事態になったのは、柊一の一言が始まりだった。
 事件が起こったのは、2日前の昼頃。夏休みで釣りに行った子供達が、小学生ぐらいの少年の遺体を発見したのだ。しかも、見せしめと言わんばかりの殺し方で、遺体を飾り付けたような状況だった。それが、幼い頃祖父に聞いた事件と似ていたのでその話をしたら、翠が「参考になるかもしれないな」と言い出したのだ。
「つーか、50年も前の事件だぞ?しかも、超人類とかいなかった時代で、そんなん参考になるのか?」
「ここまで調べてやめるなんて出来ないだろ?」
 柊一の言葉に、翠は半ば苛立ったような口調で返す。そんな2人の会話を聞いて、今まで静かに作業を行っていた課長、仁科響一が口を挟んだ。
「これだけ続ければ集中力も切れるだろう?3人とも、休んで来たらどうだ?」
「嫌ですっ!」
 見事にハモって、3人は同時に資料とのにらめっこを再開する。柊一も翠も負けず嫌いが幸いして、明香莉は単に柊一と翠に付き合って、といったところだろう。
 そのまま、作業を続けること10分、突如、すぐ近くで雷鳴が轟いた。
「きゃあっ!」
「うわっ!」
 まず先に声を上げたのは明香莉である。それに驚いて声を上げたのは、柊一と翠だ。
 閃光が走ったと同時の落雷に驚く暇もなく、停電してしまう。おかげで、バッテリーで動いているパソコン以外、全ての灯りが消え失せた。
「どこか、近くに落ちたみたいだな」
「だろうね。このままじゃ、パソコンの電源が落ちるのも時間の問題、か」
 柊一の言葉に、翠がため息まじりで応じる。すぐに復旧されれば良いが、この雨だ。いつという保証はない。
「ほら、やはり作業を止めた方が…」
 どこか面倒くさげな響一の言葉が終わらぬうちに、2度目の落雷があった。今度も近い。このままでは、確かに作業どころの話ではないだろう。
「じゃあ、仮眠とるか?」
「でも、気になるよ。ここまで調べたのに…」
 柊一の提案を真っ先に却下したのは翠だ。どうにもならないとは解っていながらも、どこか名残惜しげな表情でパソコンの画面を見つめている。
「じゃあ、肝試しなんてどうですか?」
 何故か自信ありげな表情を浮かべ、びしっと人差し指をつきたてながら、明香莉。またその瞬間に都合良く落雷があって、彼女の表情がいやに不気味に感じられた。
 それに、状況が、肝試しにうってつけだと語っている。明かりのない室内、外は雨で雷も鳴っている。そして、幽霊の類は苦手なくせに、怪談話は大好きな人物がいる。それだけで、明香莉が肝試しと言い出した理由を悟るには十分だろう。
 案の定、明香莉は期待の眼差しで残りの3人、特に翠の方を見ている。だが、その翠の表情はあまり乗り気ではないことを物語っていた。この中では、一番真面目なタイプと思われる翠だ。だからこそ、明香莉も翠に許可を求めているのだろう。ただ、その強い意思を切り崩すのは、明香莉には難しいことだ。
「良いじゃないか、翠。肝試し、やろうよ」
「柊一さん!」
「柊一ッ!?」
 助け舟を出すつもりで言ってやると、明香莉は心底嬉しそうな声を上げ、翠は怒鳴りつけるような声音で言ってくる。その予想通りの反応に満足し、柊一はさらに翠にたたみかけた。
「翠、もしかして恐いの?」
 負けず嫌いの神経を逆なでするつもりで言ってやる。すると、翠は若干表情を引きつらせたものの、それ以上は珍しく反応を見せず、代わりに半眼で言ってきた。
「ぼくには今の大人しいお前の方がよっぽど恐いよ」
「…何か言った?」
「別に」
 柊一の無駄に笑顔を浮かべた問いに、翠は嫌味っぽい笑みを浮かべて席を立つ。どうやら、新しいコーヒーを入れるつもりらしい。
 今は大人しくしている柊一だが、普段の口の悪さは半端ではない。だが、その本性を明香莉は知らないのだ。だから、一応隠そうとは努めているので、本当は「余計なこと言ってンじゃねェ!」ぐらいの台詞は言いたいところだが言えない。
 その想いが明香莉にも届いたらしい。翠の言葉を特に気にした風もなく言ってくる。
「先輩、課長、どうでしょ?」
 2人の同意が得られないので、そっちの方が心配らしい。それに先に答えてやったのは響一の方だった。
「こう暗くては仕事にならんしな。眠れないというなら、それも面白いだろう」
 言って、彼は意味ありげな笑みを息子に向ける。その意味するところを悟り、柊一は目線をそらしていたが。
 ここで課長の同意が得られたとなると、残る問題は翠だけだ。明香莉も、懇願するような目を翠に向けている。それには、とうとう翠も折れた。
「あぁ、解ったよ」
 諦めた、というよりは、かわいい妹の頼みなら、といった口調で、翠。そして、例の如く砂糖たっぷりのコーヒーを持って、席につく。
「って、翠、こっちはお前の席じゃないけど?」
 平然と自分の隣を陣取る相棒に、柊一は思わず半眼でつっこむ。すると、翠は当たり前のように返してきた。
「こっちの方が話聞きやすいだろ?」
「…やっぱ恐いんだろ?」
 いかにも言い訳めいて聞こえたので言ってやると、翠は不服そうな表情を見せる。だが、翠が口を開く前に、響一が楽しそうに言ってきた。
「東麻にばかり言っているが、本当は自分が恐いんだろ?香織がやたら怖がるから冷めてしまうようだが、お前もそれほど…」
「うわーッ!おや…ッ、父さん!余計なこと言わないでよ!」
 取り乱して素が出そうになったのを何とか抑え、柊一は思い切り父を怒鳴りつける。だが、彼は素知らぬ顔で明香莉に話を振った。
「清宮、始めてくれ」
「あ、はい…」
 若干2人のやり取りに呆気にとられていた明香莉だったが、さすがに課長に言われたのですぐに話し始めた。
「私の従姉が実際に体験した話なんですけど…」
 普段声の高い明香莉が幾分か声のトーンを落として言った刹那、轟音を響かせ、雷が落ちる。挙げ句に、辛うじて動いていたパソコンの電源も落ち、周囲は闇に包まれる。
 ただ、彼らは超人類だ。多少の暗闇でも夜目がきく。この程度の暗さなら歩くのに不自由はないが、話しているものがものだけに、恐怖は増した。
――従姉が体験なんつーベタベタな話のどこに信憑性があるってんだ…。
 口に出して言えないものの、胸中で言って気を紛らわせようとする。でなければ、変に意識してしまいそうだった。
 そうやって何とか自分の感情を抑えこんでいたが、明香莉はそれに気付いた風もなく、続けてくる。
「従姉が小6の時、臨海学校があったらしいんです。そこは、今ではちょっと珍しい感じの古寺で、そこに泊まることになってたんですね」
 話を聞きながら、次第に眠気が増してくるのを感じる。ここからはありきたりな話になりそうだ。明香莉には悪いが、このまま眠ってしまうのも悪くない、そう思ったが、
   ガタン
「ッ…!」
 明香莉の声が止んで静かになっていたところに物音がして、3人は大げさなほど反応してしまう。見てみれば、響一がカップを持ち、立ち上がったところだった。
「あぁ、悪いな。コーヒーがなくなったから入れようと思って。俺のことは気にせず、続けてくれ」
「う、はぃぃ…」
 平然と言ってのける響一の言葉に、明香莉は半泣きの顔で返事をする。翠も、笑ってはいたがさすがに驚いたらしく、若干顔がひきつっている。
――このクソ親父、人をおちょくって遊んでやがるな…。
 何事もなかったようにコーヒーを入れる父の顔を思い切り殴ってやりたい衝動に駆られたが、明香莉の手前、それが出来ないのがまた腹立たしいところだ。
「ほら明香莉、続き」
 その柊一の心情に気付いてか、翠が話を促す。すると、明香莉は何とか気持ちを落ち着かせることが出来たのか、続けてきた。
「その古寺に着いてから、従姉達は先生の指示に従って、飯ごう炊さんとか、ゲーム大会とかしたらしいんです」
 それから、寺の掃除もあったりで、色々な体験をした後、そんな合宿につきものも肝試しをやったらしい。まずは先生がその肝試しのコースにあたる場所にちなんだ怪談話をする。その後で、男女4人が組んで、寺から少し離れた場所にある地蔵のところにある鈴を取ってくるというものだ。
 もちろん、明香莉の従姉もその肝試しに参加した。
「で、時々先生に驚かされながらも、無事には進んでたんです。それから、鈴も取って来て、後は帰るだけって時に、異変が起きたんです」
 一度は通った道だ。先生の脅かしがあっても大丈夫と軽いノリで歩いて来て、古びたトンネルにさしかかる。だが、そこで全員が一様に足を止めた。
 さっき来た道のはずだ。それなのに、何故か全員、足がすくんでしまっていた。
 そして、今になって思い出される先生の怪談話。この辺りを夜に子供が出歩くと、墓地に集まっていた悪霊が襲いかかってくるのだ、と。
 それでも、このトンネルを通らないと寺には帰れない。結局、4人いるから大丈夫ということで話をまとめ、何とか歩き出した。
 進んでみれば案外普通で、先刻の違和感が嘘のようだ。明るい話題も飛び出すほどである。だが、それも中程で止んだ。
「後ろから足音が聞こえるんです。水を滴らせながら歩く音が。全員立ち止まってるのに、ですよ?でも、これは肝試し。どうせ先生の仕業だって、一緒にいた男の子が言い出したんです」
 それはもっともな意見だったはずだ。この時の先生の仕事は驚かせることなのだから。
 だが、やがて様子が違うことに気付く。とても大人の歩速とは思えない。それは彼らと同じ歩幅、つまり子供の足音だった。
 次第に、彼らから余裕が失われていく。後ろに他の班がいることはありえない。先に出発した班とはすれ違っているし、抜かされたとも思えない。だったら、答えは一つではないか。
 それでも、知りたいという衝動は止められなかったのだろう。恐る恐る振り返った、子供達が目にしたものは、
「皮膚が焼けただれ、目玉が半分飛び出した、少女の姿だったんです!」
 明香莉の言葉が終わるが早いか、雷鳴が轟く。だが、
「先輩達、驚いてくれませんね?」
 その様子が不服だったのか、明香莉が拗ねたように言ってくる。その言葉には、柊一も翠も苦笑するしかなかった。
「だって、ねぇ…?」
「うん。事件とかで、もっとすごいのとか、色んな遺体、見慣れちゃってるから」
 あまり良いこととは言えないが、事実には違いない。それには、明香莉もすぐに納得したようだった。
「じゃあ、怪談話したって、肝試しにならないってことじゃないですか」
「いや、こういうのだったら驚くよ」
 小さくため息をついて言ってくる明香莉の言葉に、翠が苦笑しながら返す。
「足音が聞こえて振り返って見たけど、誰もいないんだ。で、じゃあ全員が恐いと思うから、幻聴を聞いたってことにして、再び歩き始めたら、彼らのすぐ後ろで声がした。『みんな、死んじゃえ』って」
「ひゃあぁっ!」
 翠がトーンを下げて囁いた刹那、明香莉が思い切り悲鳴を上げる。それには、柊一達だけでなく、翠もかなり驚かされたようだ。
「明香莉〜」
 軽く非難するような口調で、柊一。だが、明香莉は涙目で必死に訴えかけてきた。
「だだ、だって、い、今っ、水に濡れた足音が…っ!」
「足音?」
 意外な反論に、柊一も翠も眉をひそめる。その疑問に答えたのは、響一だった。
「…清宮の言うことは本当らしいな」
「ッ!?」
 その言葉に、さすがに2人も耳を澄ます。響一は狼、明香莉は兎のバスタードだ。ジェネティックレイスの翠はもちろん、同じバスタードの柊一の聴力すら凌ぐ。その2人が言うのだから、間違いはないだろう。
 そして、やがては柊一、翠もその音を確認した。
「こっちに近づいてくる、な…」
「でも、この雨だろ?外で雨に降られた誰かかもしれないじゃないか」
 翠の言葉に、柊一は考えられる可能性を言う。だが、それは不安げな明香莉の言葉に一蹴された。
「こんな時間に庁舎に何の用なんですか?」
「う…」
 言われ、柊一は言葉を詰まらせる。数十年前ならともかく、技術革新が行われた現在、気になることがあるからと庁舎に来る人物も皆無に近い。何より、来ていたとしても時間が遅すぎだ。
「やっぱり、幽霊、ですか…?」
 今にも泣き出しそうな声で、明香莉。それに、柊一が苦笑しながら答えた。
「このご時世にお化けなんてないって」
「でもぉ…」
 確証のない言葉に、いまだ不安を消せない様子の明香莉だったが、それすら否定してしまうと幽霊の来訪を決定づけてしまうので、返す言葉を見つけられないらしかった。
 正直、それは柊一も一緒だ。幽霊などないとは思っていても、思わず信じかけてしまうこともある。今回がそうだ。あんな話の後の同じ現象である。意識しない方が無理というものだ。
 そうやって言っているうちにも、例の足音はどんどん近づいてくる。それは、明らかにこちら――特捜S課に向かっていた。
 全員が、無意識のうちに息を飲む。静かすぎるほどの静寂と、それを打ち破る足音…。相反するそれらの音が、彼らから言葉を奪っていた。
 やがて、足音が止んだ。それは、すぐ扉の向こうに足音の主がいることを示している。彼らが息を殺して見つめていると、停電で自動に開かなくなったそのドアがゆっくりと開けられて、
「うわーッ!」
 ドアの向こうに浮かび上がった少女のような顔を見た瞬間、柊一、翠、明香莉の3人が絶叫する。だが、次の瞬間聞こえてきたのは、
「ど、どうしたの?みんなして」
 その聞き覚えのある声に顔を上げてみれば、驚いた顔をした由香が立っていた。手にしていた懐中電灯を、扉を開けるために上に向けて持っていたので顔が照らし出される形になっていたらしい。少女の顔に見えたのは、先刻の話の関連のためと、由香の童顔のためだろう。そこまで確認できた時には、ちょうど都合良く電気が付いて、闇から解放された。
「か、母さん!?何でこんな時間に?」
 状況が良く掴めずに柊一が問うと、こちらも訳が解っていない様子ながら、答えてくれた。
「何でって、お父さんから連絡があったから。今日は帰れないって。だから、柊ちゃんの分と2人分、着替えを届けに来たのよ?夜勤終わりだったから、こんな時間になっちゃってゴメンね?」
 すまなさそうに言ってくる母に、柊一は苦笑する。看護師である由香が夜勤になることは珍しくない。
 要するに、今回の出来事は、ただ偶然が重なっただけにすぎないということだ。それが解った途端、一気に気が抜ける。
 ただ唯一訳が解っていない由香だけが困惑した表情を浮かべていた。
「一体何があったの?それに、お父さんまで」
 母の言葉に課長の席を見てみると、声こそ出さなかったもののさすがに驚いたのか、姿勢が崩れ、苦笑を浮かべた父の姿が見えた。ただ、明香莉に至ってはもっとひどく、気絶していたが。
「柊ちゃん達も、どうかしたの?」
「え…?」
 言われ、2人はようやく自分達の体勢に気付く。柊一は柊一で脱力した勢いで椅子から滑り落ちていたし、翠は翠で思い切り柊一の腕を掴んでいた。
「…翠、痛いんだけど」
 言ってやると、翠はようやく自分の体勢に気付いたらしく、勢い良く離れて目を反らす。恐くないと豪語していた手前、やはりバツが悪いのだろう。
 そのまま暫くは黙ったままでいた翠だったが、それはそれで居心地が悪いのか、気を失ったままの明香莉を背負い、独りごちるように言った。
「さてと、明香莉を仮眠室に連れてかないとな」
「…そうだな」
 それには、柊一も素直に同意する。母への事情説明は父に任せるとして、やる気も失せたことだし、今日のところは睡魔に従うことにした。
 ちなみに、翌日、無事に資料は見つけられたものの、例え暇つぶしとは言え、彼らが怪談話をすることは2度となかった。





あとがき:
夏です。そして、お盆。
この2つがくれば、やはり怪談話ではないでしょうか。
今回の話は、1000hitのキリリクとしていただいたものです。
久しぶりに書いた怪談話、いろいろベタベタな気がするのは気のせいです(笑)
前回アップしたのがかなり明るい話だったので、今度のはどちらかと言えば対照的な感じで。
お盆の入り日、そして13日の金曜日。
ちょうど良い時期のアップになったのではないでしょうか。
そして、最後になりましたが、狐都さま、報告&リクありがとうございました。
〔2004.8.13〕